一番大事なのは精神論じゃない [BOOK]
西原理恵子「この世でいちばん大事な『カネ』の話」を読んだ。
冒頭から日本の貧困について言及してあるので惹かれて手に取ってみたが、非常に居心地の悪い本だった。
日本に貧困はあるが自分はその貧困からこうやって努力して抜け出した、という成功譚に陥ってしまい、社会制度や政治の不備に言及するまでに至らない。
「フリーター」や「ニート」をめぐる議論の中で「アルバイトに逃げるな」って、そういう姿勢が安易だと攻撃される風潮もあるけど、アルバイトそのものは、わたしは自分の子どもにも、どんどん、やってほしいと思っている。
のが西原の認識の限界なのだ。フリーターもニートも(半分くらいは)好きでやってるんじゃないんですけど……。
最終的に伝えたいメッセージは「どんなときでも、働くこと、働きつづけることが「希望」になる」。
これだから高度経済成長を経験した人間は嫌いなんだ。
働いても働いても食えないのが今の日本の現状。起業するお金を貯金する余裕すら持てないのが現在の賃労働の実態なのだ。
更に言えば働きたいからといって簡単に働けるものではないこともこの本では見落とされている。だったら就活生がこんなに困窮しているわけがないっての。
貧困についても完全な「犠牲の累進性」論者で、日本などよりカンボジアのほうが労働は断然過酷と言って憚らない。確かにその通りなんだけど「だから日本は恵まれている」なら自殺者三万人越えはないっしょ。
貧困の解決策としてベーシックインカムなど提案しようものなら「その金を酒やギャンブルにつぎ込む輩が出てきたらどうする!」とかって横っ面張られそうだな。
恐るべきことはこの本はもともと湯浅誠「どんとこい!貧困」と同じく子ども向けに書かれているということだ。
この本を読んで成長した子どもたちがフリーターやニートになってしまったら自分のことを責めてしまうのではないか。そのことがとても不安である。
この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)
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冒頭から日本の貧困について言及してあるので惹かれて手に取ってみたが、非常に居心地の悪い本だった。
日本に貧困はあるが自分はその貧困からこうやって努力して抜け出した、という成功譚に陥ってしまい、社会制度や政治の不備に言及するまでに至らない。
「フリーター」や「ニート」をめぐる議論の中で「アルバイトに逃げるな」って、そういう姿勢が安易だと攻撃される風潮もあるけど、アルバイトそのものは、わたしは自分の子どもにも、どんどん、やってほしいと思っている。
のが西原の認識の限界なのだ。フリーターもニートも(半分くらいは)好きでやってるんじゃないんですけど……。
最終的に伝えたいメッセージは「どんなときでも、働くこと、働きつづけることが「希望」になる」。
これだから高度経済成長を経験した人間は嫌いなんだ。
働いても働いても食えないのが今の日本の現状。起業するお金を貯金する余裕すら持てないのが現在の賃労働の実態なのだ。
更に言えば働きたいからといって簡単に働けるものではないこともこの本では見落とされている。だったら就活生がこんなに困窮しているわけがないっての。
貧困についても完全な「犠牲の累進性」論者で、日本などよりカンボジアのほうが労働は断然過酷と言って憚らない。確かにその通りなんだけど「だから日本は恵まれている」なら自殺者三万人越えはないっしょ。
貧困の解決策としてベーシックインカムなど提案しようものなら「その金を酒やギャンブルにつぎ込む輩が出てきたらどうする!」とかって横っ面張られそうだな。
恐るべきことはこの本はもともと湯浅誠「どんとこい!貧困」と同じく子ども向けに書かれているということだ。
この本を読んで成長した子どもたちがフリーターやニートになってしまったら自分のことを責めてしまうのではないか。そのことがとても不安である。
この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)
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